ある日、テニス帰りに家族みんなで立ち寄ったカフェ。
コーヒーを飲んでいたパパが、突然胸を押さえて顔をしかめました。「うっ、なんか胸が焼けるような感じがする…!」
「もしかして、それって異世界“食道王国”からのサインかも?」とミサが冷静にツッコミ。
家族全員が謎の扉に吸い込まれ、気づけばそこは「機能性食道炎」という謎の病と戦う世界でした――。
このブログでは、消化器・肝臓内科専門医であるパパと家族たちが、異世界の冒険を通じて「機能性食道炎」の原因、診断、治療法をわかりやすく解説します。
胸やけ・違和感に悩む方、そしてそのご家族必見です。
【キャラクター紹介】
- パパ(自分):46歳。内科学会認定専門医・消化器内科・肝臓内科医。スマホ片手にチャートをチェックしがち。朝6時にテニスやランニングを欠かさない。脂肪性肝疾患もち、寝不足常習犯。
- ママ:37歳。育児とテニスが趣味。表情で語る理学療法士。ダイエットのためウォーキングを継続中。パパとはテニスで出会い結婚。
- ミサ:9歳。ピアノとスイーツが大好きな小学4年生。冷静で理論派、よくパパにツッコミを入れる。
- いっしー:6歳。ボールを抱いて寝る運動好き男子(テニス・サッカー)。小学1年生。ミサとよくケンカするが仲良し。
- ゆう:0歳。泣き声がFX急落と連動する天才ベビー。家族みんなの癒し。
- パンダ(猫):マイペースな猫。気分がいいときだけパパに甘える。
【第1章】異世界「食道王国」へ
ある日曜日、テニス帰りのカフェで起こった事件。
コーヒーを飲んでいたパパが、突然胸を押さえて苦しみだしました。
ミサ「パパ、顔色わるっ!それって胃じゃなくて食道がやられてるんじゃないの?」
いっしー「食道?なにそれ、強そう!」
ママ(表情で心配そうにうなずく)
その瞬間、足元に不思議な光のゲートが開き、家族全員が吸い込まれていきました――。
気づけばそこは、異世界「食道王国」。
待ち受けていたのは、
「機能性食道炎」という目に見えない敵だったのです!
【第2章】機能性食道炎とは?
ミサ「パパ、ここってどこ?」
パパ(医師モード)「うーん、どうやらここは食道の機能に異常はないのに、症状だけ出る世界みたいだな。」
いっしー「それって、強いの?弱いの?」
パパ「強いか弱いかっていうより、“見えない敵”なんだ。検査しても、潰瘍も、びらんも、がんもない。でも胸やけや違和感を感じる。それが機能性食道炎だよ。」
ゆう「ばぶー(わかんなーい)」
【第3章】発症のメカニズム
ママ「でも、どうして見えない敵に苦しめられるの?」
パパ「それはね、大きく分けて4つの理由があるんだ。」
1. 感覚が過敏になっているから
パパ「普通なら気づかないくらい小さな刺激でも、
脳が“痛い!”って大げさに反応してしまうんだ。
まるで、ちょっと触っただけで“イテッ”って叫んじゃうみたいな感じだね。」
2. 心と体のつながりが乱れているから(脳腸相関の乱れ)
パパ「ストレスや不安が続くと、体も敏感になっちゃう。
特に食道の神経がピリピリしやすくなって、ちょっとした刺激にも反応しやすくなるんだ。」
ミサ「心の疲れが、体にも出ちゃうんだね。」
3. ごく少しだけ胃酸が逆流しているから
パパ「検査ではわからないくらい少しだけ、胃酸が食道に上がってきていることがあるんだ。
これが**“微小逆流”**っていうんだけど、過敏になった食道はそれだけでも強く反応しちゃうんだよ。」
4. 食道のバリアが弱くなっているから
パパ「本当なら、食道には刺激から守る“バリア”があるんだけど、
それが壊れていると、わずかな刺激でもダメージを受けやすくなっちゃうんだ。」
ママ「見た目は普通でも、中身が弱ってるってことね。」
ミサ「つまり、悪者は見えないけど、ちゃんとそこにいるってことなんだね。」
パパ「その通り!
だからこそ、心と体の両方からアプローチして、優しく整えてあげることが大事なんだよ。」
ゆう「ばー!(だいじにねー!)」
【第4章】診断方法
いっしー「どうやってその敵を見つけるの?」
パパ「まずはしっかり話を聞くことから始めるよ。どんなときに胸やけがするのか、食事やストレスとの関係も詳しく聞き取るんだ。」
ママ「それで、何か分かるの?」
パパ「うん。でも、それだけじゃわからないこともあるから、内視鏡検査をして、食道に傷や炎症がないか直接見るよ。」
ママ「もしそれでも異常がなかったら?」
パパ「その場合は、さらに24時間pHモニタリングっていう検査をするんだ。1日かけて、胃酸が逆流してきていないかをチェックするよ。(必須ではないため省略することもあります。)
それでも逆流がないと分かれば、機能性食道炎と考えるんだ。」
ミサ「ちゃんと順番を追って、慎重に調べていくんだね!」
パパ「そう、“異常がない”を確認してから初めて診断できるんだよ。」
【第5章】治療法
ミサ「じゃあ、治すにはどうすればいいの?」
◆ ライフスタイルの見直し
パパ「治療も一つじゃないんだ。いろんな方法を組み合わせる総合戦だよ。」
- 毎日のストレスを減らす(ウォーキング、趣味を楽しむ)
- 食事を改善する(脂っこいものや刺激物は控えめに)
◆ お薬を使う治療
- **三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)**を少しだけ使って、神経の過敏さを抑える
- **神経に作用するお薬(ガバペンチンなど)**で、痛みの感覚を和らげる
- 必要に応じて、**胃酸を抑える薬(PPI)**も使ってみるけど、効かないこともあるんだ
◆ 心のケア
- **認知行動療法(CBT)**っていう考え方のトレーニングが効果的だとわかってるよ【参考:Savarino E, et al. Rome IV criteria for esophageal disorders. Neurogastroenterol Motil. 2017;29(12) [https://doi.org/10.1111/nmo.13166]】
いっしー「強い心と強い体、どっちも育てないとダメなんだね!」
パパ「そうだね。薬だけに頼らず、生活も心もバランスを整えることが大事なんだ。」
ゆう「ばー!(がんばれー!)」
【第6章】現実世界に戻って
食道王国での冒険を終えた家族は、現実世界に戻りました。
パパ「これからは、ストレスをためずに、生活を見直していこう。」
ミサ「パパ、寝不足もダメだよ。」
ママ(にっこりうなずく)
いっしー「サッカーのあとにジャンプしまくるのはOK?」
パパ「うーん、ほどほどにな!」
ゆう「ばーぶー!(おなかすいたー!)」
パンダ(そっと近寄り、パパの膝に乗る)
【まとめ】
機能性食道炎は、目に見えないけれど確かに存在する敵です。
原因は単純ではなく、心と体の総合的なケアが必要です。
正しい診断と治療を受けることで、症状を和らげ、日常生活の質(QOL)を改善することができます。
家族みんなで支え合いながら、食道王国との戦いに勝ちましょう!
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