健康診断の結果に「肝機能障害の疑い」「再検査をおすすめします」と書かれていたら、あなたはどうしますか? 「仕事が忙しいし、とりあえず放っておこうかな…」と思った方、ちょっと待ってください。見逃してはいけない“サイン”が隠れているかもしれません。このブログでは、消化器・肝臓内科の専門医でもある“パパ”とその家族が、突如として異世界『肝臓王国』に迷い込み、肝機能異常の意味や対策を探る冒険を繰り広げます。難しい医学用語も、物語形式で楽しく理解! 子育て世代~中高年の方に向けた、実践的な肝臓健康のヒントをお届けします。
キャラクター紹介
- パパ(46歳):消化器・肝臓内科医。FXチャートを眺めるのが日課。最近は自分も脂肪肝を指摘され、朝ランとテニスに励んでいる。
- ママ(37歳):表情で感情を語る魔導士。ウォーキングとテニスでダイエット中。パパとはテニスで出会い、家庭を築く。
- ミサ(9歳):理系脳の魔法学園生。ピアノとスイーツが大好き。冷静ツッコミ担当。
- いっしー(6歳):スポーツ大好きな小学1年生。寝るときもボールと一緒。
- ゆう(0歳):泣き声とFXの急落が完全連動。癒し系かつ謎多き天才ベビー。
第1章:異世界への転移と「肝機能異常」の意味
ある朝、いつものようにチャートを見ながらコーヒーを飲んでいたパパは、ミサの「パパ、これ何?」という声で目を覚ました。見れば、家族全員が謎の光に包まれ、“肝臓王国”という異世界に転送されていたのだ。
王国の入口に立つと、そこには「AST」「ALT」「γ-GTP」など見慣れた文字が浮かび上がっていた。
ミサ:「これ…健康診断の用紙にあったやつじゃない?」
パパ「そう、これは肝機能を示す指標なんだよ。血液検査で、肝臓がどれだけ元気に働いてるかを見る数字なんだ」
- ALT(GPT):肝細胞が壊れると出てくる酵素。肝臓に特異的。
- AST(GOT):肝臓以外にも筋肉や心臓からも出る。
- γ-GTP:飲酒や胆汁うっ滞で上昇。アルコールが関係している可能性も。
【肝機能検査の詳細:https://www.jshep.org/guidebook/】
ミサ:「じゃあ、この数字が高いってことは、肝臓がSOS出してるってことね!」
第2章:肝臓の役割と検査値の読み方
異世界の診療所で、パパは家族に「肝臓の働き」を教える魔法講義を開いた。
「肝臓って、実はすっごく多機能なんだよ」
- 栄養の代謝(糖や脂肪、たんぱく)
- 解毒(アルコール・薬・老廃物)
- 胆汁の生成
- 免疫にも関与
パパ:「だからこそ、肝臓に異常があると“疲れやすい”“だるい”といった症状が出ることもあるんだ」
そして検査値を見るポイントは以下の通り:
- ALT > AST:脂肪肝や薬剤性の可能性
- AST > ALT:アルコール性や筋肉由来かも
- γ-GTP > 100:アルコールや胆道系の異常を疑う
第3章:「再検査が必要なサイン」とは?
「じゃあ、再検査ってどんなときに必要なの?」とミサ。
パパ「うん、以下のようなサインがあったら専門医の再評価が必要だよ」
- ALTやASTが持続的に高値(1か月以上)
- γ-GTPが高値で、飲酒習慣がある
- だるさ・食欲不振・黄疸・尿が濃い
- 肝臓に負担をかける薬やサプリを使用している
いっしー:「ぼくのボールが光ってたらパパも再検査する?」
パパ「それはすごくわかりやすいサインだね(笑)」
第4章:肝機能障害の原因一覧
“肝臓王国”の図書館には、原因ごとに分けられた魔導書が並んでいた。
パパ:「肝臓の異常には本当にいろいろな原因があるから、しっかり調べないとね」
- 脂肪性肝疾患(MASLD):生活習慣病と関連し、内臓脂肪が増えることで起こる。放置するとNASH(非アルコール性脂肪肝炎)へ進行することも【https://www.jhep.jp/info/public/nash.html】
- アルコール性肝障害(ALD):長期間の過剰飲酒により肝細胞が傷つく。断酒が必要。
- 薬剤性肝障害:一部の薬やサプリメントでも肝臓に炎症が起こる【https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6628011/】
- 自己免疫性肝炎(AIH):免疫が誤って肝臓を攻撃する。ステロイド治療が有効な場合も【https://www.jsh.or.jp/files/uploads/AIH_guideline_2020.pdf】
- 原発性胆汁性胆管炎(PBC):胆管がゆっくりと破壊される自己免疫疾患【https://www.jsh.or.jp/files/uploads/PBC_guideline_2021.pdf】
- ウイルス性肝炎(B型・C型):感染していることに気づかず慢性化していることもある
- 甲状腺疾患(バセドウ病・橋本病)による肝障害:甲状腺ホルモンの異常が肝機能に影響することもある【https://www.jsts.gr.jp/public/disease/】
ママ:「私、サプリいっぱい飲んでたけど、それって肝臓に負担だったかも…?」
パパ「そうだね、“自然”とか“無添加”って書いてあっても、肝臓にとってはストレスになることもあるんだ」
第5章:放置してはいけない理由
“沈黙の臓器”と呼ばれる肝臓は、症状が出にくい。
ミサ:「じゃあ、放っておいても気づかないのが一番怖いってことね」
パパ「そう。検査値の異常が続いているのに放置すると、“肝硬変”や“肝がん”に進行してしまうリスクがあるんだ」
- 肝硬変:線維化が進み、肝臓の機能が低下
- 肝がん:慢性炎症の中で遺伝子変異が蓄積し発生
第6章:肝臓を守る生活習慣
異世界で出会った賢者は、魔法よりも「日々の習慣」が最強の予防術だと教えてくれた。
まずは、**脂肪性肝疾患(NAFLD・MASLD)**に対する生活習慣改善から。
- 週3回以上の有酸素運動(ウォーキング・ジョギング)
- 野菜多め・油少なめの食事
- 1日1回は“休肝日”を!
- 体重の5〜10%減少で肝機能改善も
いっしー:「パパ、じゃあ今日から走るの付き合ってよ!」
パパ:「お、いいね!ゆうもベビーカーで一緒に行こうか」
ゆう:「あーうー(いくー!)」
さらに、**アルコール性肝障害(ALD)**に対しては…
- まずは飲酒量の記録から(日記やアプリで把握)
- 週2日は完全な休肝日
- 毎日飲む習慣がある人は医療機関での相談を
- 肝硬変の一歩手前であっても、断酒で改善する例は多い
ママ:「私の友達、毎晩ワイン飲んでたけど、最近やめて体調すごくよくなったって」
パパ:「そう、それが“肝臓が喜ぶ選択”ってやつだね」
薬剤性肝障害に対しては…
- 医師にすべての服薬・サプリを伝える
- 「自然」や「健康」をうたう成分も安心とは限らない
- 健康診断前の過剰サプリ摂取にも注意
ミサ:「“デトックス”って書いてあっても、肝臓に負担だったりするのね…」
パパ:「そのとおり、“効きそう”より“安全性”が大切なんだ**」
**自己免疫性肝炎(AIH)や原発性胆汁性胆管炎(PBC)**に対しては…
- ストレス軽減と規則正しい生活(免疫の安定化)
- 症状が軽くても定期的な血液検査と専門医の診察
- 治療薬の副作用管理や血中濃度チェックも重要
ミサ:「ストレスでも肝臓にくるって、知らなかったよ」
パパ:「自己免疫の病気は、見た目じゃわからないからこそ、“周囲の理解”もすごく大事なんだ**」
甲状腺由来の肝障害(バセドウ病や橋本病)に対しては…
- 甲状腺ホルモンのコントロールが最優先
- 定期的な血液検査でTSH・FT4の値を確認
- 肝機能異常が出たときは内分泌科も含めて連携治療
パパ:「肝臓の数字がきっかけで甲状腺の病気が見つかることもあるから、油断しないようにね」
生活習慣の見直しは、どんな肝臓病でも「回復の土台」となる。無理せず、でもあきらめず、家族で支えあって肝臓を守っていこう!
第7章:専門医として伝えたいこと ~家族との冒険を終えて~
異世界から戻った家族たち。パパは改めて、医師として、家族として、肝臓の健康を守る大切さを実感する。
- 肝機能異常は「気づきのチャンス」
- 原因はひとつではなく多様。自己判断せず、専門医に相談を!
- 放置せず、生活改善と定期的な検査を。肝臓は回復力のある臓器!
ミサ:「異世界に行かなくても、ちゃんとパパの話を聞いて検査受けたら大丈夫ってことね」
パパ:「うん、“再検査”は次の冒険の入口かもしれないんだ」
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