右上腹部の痛み、発熱、吐き気――それはもしかしたら「胆のう炎」かもしれません。とくに40代以上、脂っこい食事が多い方やメタボ体質の方では注意が必要です。胆のう炎は胆石の存在と深く関わっており、放置すれば命に関わる重症感染症へと進行することもあります。
今回は消化器・肝臓内科専門医であるパパとその家族が、胆のうをめぐる“胆石の迷宮”を冒険しながら、胆のう炎の予防と治療に役立つ7つのポイントを学んでいきます。
「予防できる病気は、家族みんなで防ぐ」。食事や運動習慣、日常のサインの見つけ方まで、子育て世代〜中高年に役立つ知識を、異世界ファンタジー風に楽しくわかりやすくお届けします。
【登場キャラクター紹介】
- パパ:46歳。内科学会専門医、消化器・肝臓内科医。スマホでチャートを見がちで寝不足気味。脂肪性肝疾患あり。朝はテニスかランニング。投資好き。
- ママ:37歳。理学療法士。育児とテニスが趣味。やや肥満でダイエット中。パパとテニスで出会い結婚。
- ミサ:9歳。小学4年生。ピアノとスイーツが大好きな冷静系突っ込み役。
- いっしー:6歳。小学1年生。運動大好きな元気ボーイ。ミサとよくケンカする。
- ゆう:0歳。鳴き声とタイミングが天才的(主にFX急落時)。家族の癒し担当。
- パンダ(猫):パパとは相性が悪いが、気分次第で甘えてくる。甘えるときはドル円が上がる?
第1章:「胆のう炎って何?〜胆石の正体を見よ!〜」
パパ:「ここは“右上腹部の遺跡”。この場所で痛みが出るときは、胆のうのサインかもしれないんだ。」
ミサ:「胆のう炎って、胆石がつまることで起こるんでしょ?」
パパ:「その通り!胆のうにできた石(胆石)が出口に詰まり、細菌感染や炎症が起きる。それが急性胆のう炎だよ。」
いっしー:「でもさ、石があるだけなら平気なときもあるんでしょ?」
パパ:「“無症候性胆石”ってやつだね。でも、一度症状が出たら、再発の可能性が高いから要注意なんだ。」
ゆう:「ふぎゃ〜!(おなかイタイ、やーよ〜)」
◆ まとめ
- 胆のう炎は胆石が胆のう出口に詰まって起きる炎症
- 初期症状は右上腹部痛・発熱・吐き気など
- 一度症状が出たら再発リスクが高いので注意!
【参考:Tokyo Guidelines 2018】【https://doi.org/10.1007/s00534-017-1435-x】
第2章:「脂っこい魔物との戦い〜食事習慣を見直せ!〜」
いっしー:「うわ〜!あの魔物、唐揚げの匂いがするよ!」
ミサ:「“脂っこい魔物フライダー”ね…あれが胆石を育ててるのよ!」
パパ:「その通り。動物性脂肪が多く、食物繊維の少ない食生活は胆石の最大の原因のひとつなんだ。」
ママ:「だから最近、我が家は野菜中心のメニューを増やしてるのよ。あと、暴飲暴食もダメね。」
パパ:「特に食後すぐに腹痛が起こる場合は、胆のうが“助けて”って言ってるサインかもね。」
ゆう:「ふにゃっ(まんま、あぶらすくなめ〜)」
◆ まとめ
- 高脂肪・高コレステロール食は胆石の温床
- 食物繊維(野菜・豆・海藻)を意識して摂る
- 暴飲暴食・外食中心の生活習慣は見直そう
【参考:Lammert F et al. Nat Rev Dis Primers. 2016】【https://www.nature.com/articles/nrdp20166】
第3章:「沈黙の石〜無症状の胆石に潜むリスク〜」
ミサ:「あれ…この石、動いてないけど、なんだか不気味ね」
パパ:「それが“沈黙の石”――つまり、無症候性胆石だよ。症状がないけど、胆のうの中に石がある状態だね。」
いっしー:「何もしなくてもいいの?」
パパ:「基本的には経過観察だけど、糖尿病患者や免疫低下のある人、高齢者では症状が出る前に手術を考えることもあるよ。」
ママ:「症状が出てからの胆のう炎は重症化しやすいしね。」
ゆう:「ふにゃ〜(しずかにあぶない〜)」
◆ まとめ
- 無症状でも胆石がある人は多い(5〜15%)
- 糖尿病・高齢者・免疫低下者では無症候性でも注意が必要
- 定期的な超音波検査でのフォローを
【参考:NIH Consensus Statement. 1992】【https://consensus.nih.gov/1992/1992Gallstones091html.htm】
第4章:「肥満とメタボの影〜胆石を育てる体質〜」
ミサ:「あれ…この洞窟、脂がにじみ出てる…」
パパ:「ここは“脂肪の迷宮”。肥満、とくに内臓脂肪型肥満は胆石の大きなリスク因子なんだ。」
ママ:「私もウォーキングで少しずつ脂肪減らしてるわよ!」
パパ:「偉い!BMIが高いほど胆石のリスクも比例して上がる。女性は妊娠やホルモンバランスの影響もあるから、特に気をつけてほしいね。」
いっしー:「ぼくもママと一緒に走ろうかな!」
ゆう:「ぷに〜(うごく、だいじ〜)」
◆ まとめ
- 肥満は胆石リスクの主要因(特に内臓脂肪型)
- BMI25以上でリスク上昇、急激なダイエットでも胆石ができやすくなる
- 食事+運動の継続的な体重管理が予防につながる
【参考:Portincasa P et al. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2012】【https://doi.org/10.1038/nrgastro.2012.14】
第5章:「胆のう炎になったら?〜治療と手術の選択〜」
いっしー:「うわぁ、魔物が暴れてる!これが“発作”ってやつ?」
パパ:「胆石が胆のうの出口に詰まって胆のう炎が起きると、急性腹症になることもある。この状態は放置できないよ。」
ミサ:「どんな治療があるの?」
パパ:「まずは抗菌薬治療と絶食で炎症を抑える。重症なら**腹腔鏡手術(胆のう摘出術)**が必要になることもあるね。」
ママ:「内視鏡でのドレナージ(PTGBD)も高齢者には選択肢の一つね。」
ゆう:「ぎゃあ〜(はやく、なおして〜)」
◆ まとめ
- 胆のう炎は内科的治療(抗菌薬)+場合によっては手術が必要
- 胆のう摘出は腹腔鏡手術が主流、安全性も高い
- 高齢・重症例ではドレナージ術や慎重な管理が重要
【参考:Tokyo Guidelines 2018】【https://doi.org/10.1007/s00534-017-1435-x】
第6章:「再発防止と生活習慣の鍵〜胆汁の流れを整えよう〜」
ママ:「あれ?この水路、なんかドロドロして流れが悪いわ」
パパ:「それが“胆汁の停滞”だよ。胆のうを取った後でも、胆汁の流れを良くすることが再発防止のカギになるんだ。」
ミサ:「じゃあ、また暴飲暴食したら再発もあるってこと?」
パパ:「その通り。小まめに食べる、脂肪を適度に摂る、運動を継続することが胆汁の流れを保つんだよ。」
ゆう:「ふにゃ〜(こまめに、たべる〜)」
◆ まとめ
- 胆のう摘出後でも胆汁うっ滞による不調や再発は起こり得る
- 少量頻回の食事と適度な運動で胆汁の流れを保つ
- 極端な低脂肪食もかえって胆汁停滞を招くので注意
【参考:Watanabe M et al. Hepatology Research. 2018】【https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/hepr.13136】
第7章:「気づく力を育てよう〜早期受診の大切さ〜」
いっしー:「パパ!お腹痛いのに無理してたらダメなんだよね?」
パパ:「そう。胆のう炎は時間との勝負。痛みや発熱を我慢すると、命に関わる腹膜炎になる可能性もあるんだ。」
ミサ:「市販の痛み止めでごまかさないで、ちゃんと病院に行かなくちゃね。」
ママ:「自分の体に敏感になること、それが一番の予防よ。」
ゆう:「ふにゃっ(はやく、いこー!)」
◆ まとめ
- 胆のう炎は早期受診が命を守るカギ
- 強い右上腹部痛+発熱+吐き気があればすぐ受診を
- 市販薬での自己判断では遅れるリスクも!
【参考:American College of Gastroenterology Guidelines】
◆ ブログのまとめ:胆のう炎の予防と治療
- 胆のう炎は胆石が原因のことが多く、右上腹部痛・発熱・吐き気が主なサインです。
- 脂肪分の多い食事や暴飲暴食、メタボ体質は胆石の原因になります。
- 無症状でも胆石がある場合、発作を起こすリスクがあるため、医師と相談を。
- 肥満・高脂血症・糖尿病の管理が胆石・胆のう炎の予防に有効です。
- 急性胆のう炎では、抗菌薬治療や腹腔鏡手術(胆のう摘出)が行われることがあります。
- 胆汁の流れをよくするには、適度な運動と規則正しい食事がポイントです。
- 繰り返す腹痛や発熱があるときは、早めの受診が命を守る第一歩になります。
胆のう炎は、日々の習慣や体のサインに目を向けることで十分に予防と早期対応が可能な病気です。ご家族みんなの健康を守るためにも、今できることを一つずつ実践していきましょう。
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