「健康診断で“胃にポリープがあります”って言われたけど、何も症状ないし大丈夫だよね?」
そんなあなたへ。
胃のポリープ=がんではありませんが、放置していいとは限りません。 特に「胃底腺ポリープ」は多くの人に見つかる良性病変ですが、薬やピロリ菌、さらには遺伝病が関係することもあり、医師による適切な評価が重要です。
このブログでは、肝臓・消化器専門医のパパとその家族が、“胃界王国”という異世界で繰り広げる冒険を通じて、胃底腺ポリープの正体や検査・治療の考え方をわかりやすく解説します。
さあ、胃の中の知られざる世界へ、家族みんなで出発しましょう!
【キャラクター紹介】
- パパ(46歳):内科学会専門医・消化器・肝臓内科医。脂肪肝あり。寝不足気味。投資も大好きでスマホのチャートを四六時中見ている。
- ママ(37歳):理学療法士。テニスとウォーキングが日課。表情と身振りで会話するタイプ。
- ミサ(9歳):小学4年生。ピアノとスイーツが好きな冷静な突っ込み系女子。
- いっしー(6歳):小学1年生。運動大好きボーイ。ボールと一緒に寝る。ミサとよくケンカ。
- ゆう(0歳):天才的な泣き声で家族を救うFXアラームベビー。
- パンダ(猫):気分屋で、ドル円上昇時に甘えてくるという噂がある。
第1章:ポリープの影と“胃界王国”への招待状
──ある日、パパが持ち帰った一枚の紙。
ミサ:「パパ、これなに?“胃底腺ポリープ”…って書いてあるよ」
パパ:「健診の胃カメラで見つかったんだ。まあ、よくある良性のポリープなんだけどね」
いっしー:「ポリープって、がんなの!?怖いの!?」
ママ:「パパ、それ…ちゃんと診てもらわないとダメなんじゃない?」
ゆう:「ふぎゃあ〜!(あやしい予感!)」
突然、部屋がまばゆい光に包まれ、家族は異世界――胃界王国に転送されてしまった。
次章(第2章)では、以下のテーマで展開予定です:
第2章:胃底腺ポリープって何?
胃界王国の図書館にたどりついた家族一行。
パパ:「さて、胃底腺ポリープについて正確に理解しよう」
◆ 胃底腺ポリープの特徴
- 胃底腺ポリープは胃の“胃底部”にできる小さな良性の隆起。多くは直径5mm以下で、偶然発見されることが多い。
- 主に中高年女性に多く、内視鏡で見るとツルンとした半透明のドーム型に見えるのが特徴。
ママ:「でも、なんでできるの?体質?」
◆ 発症の原因
- 長期のPPI(プロトンポンプ阻害薬)使用により胃酸が抑制され、胃底腺ポリープが出現しやすくなるといわれている。
- 参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30885176/ 【2023年の内視鏡研究レビュー】
- ピロリ菌がいない胃に発生しやすい傾向もある。
ミサ:「ピロリ菌がいない方が出やすいの?逆だと思ってた」
パパ:「そう、不思議だけど、ピロリ菌除菌後の胃ではむしろ胃底腺ポリープが増えることがあるんだ」
◆ がんになるの?
- 基本的に胃底腺ポリープはがん化しない良性病変。
- ただし、FAP(家族性大腸腺腫症)という遺伝性疾患が背景にあると、多発・巨大化・がん化のリスクが高まる。
いっしー:「じゃあ、どのポリープが危ないの?」
パパ:「急激に大きくなる、数が多すぎる、出血している、5mm以上で色調が変化しているものは注意が必要。内視鏡医の判断がカギだね」
ゆう:「ふぎゃっ(にゃんかヤバいのあるー!)」
【第2章まとめ】
- 胃底腺ポリープは小さくて無症状のことが多く、基本的には良性。
- PPIの長期使用やピロリ除菌後の胃で出やすい。
- がん化はまれだが、FAPがある場合は注意が必要。
第3章:経過観察?切除?判断の分かれ道
図書館を出ると、家族は“胃の診療の間”と呼ばれる場所に案内された。 そこでは賢者のような内視鏡医が診断の極意を伝授していた。
パパ:「ここからは“どのポリープを切除して、どれを経過観察で済ませるか”の話だ」
◆ 切除の必要があるポリープは?
- 一般的に、胃底腺ポリープは5mm未満であれば切除不要。
- ただし、以下のようなケースは切除や追加検査が考慮される:
- 5mm以上に増大
- 色調異常(赤くなっている、凹凸がある)
- 出血や潰瘍を伴う
- FAPなどの基礎疾患がある場合
ママ:「でも、検査のときって怖いよね」
パパ:「最近は無痛の経鼻内視鏡もあるし、ポリープ切除自体も“内視鏡的ポリペクトミー”という簡便な方法でできるようになってるよ」
◆ 経過観察ってどれくらい?
- 胃底腺ポリープが小さく、特にリスク因子がなければ年1回の胃内視鏡検査で十分。
- 急激な増大や症状(胃痛、貧血など)があれば早めに再検査。
いっしー:「じゃあ、小さければ放っておいていいの?」
パパ:「“放置”じゃなくて“経過観察”だね。“問題なし”と“確認する価値なし”は違うんだ。」
ゆう:「ばぶ〜(ちゃんと確認して〜)」
【第3章まとめ】
- 胃底腺ポリープの多くは経過観察でOK。
- 大きさ・形・出血・色調変化が判断材料。
- FAPなど基礎疾患がある場合は積極的対応を。
第4章:ピロリ菌と薬が与える影響
“胃の薬泉地”に着いた家族。
ミサ:「ここ、胃薬の研究所って感じね」
パパ:「この章ではピロリ菌とPPIがどう関係してるかを話そう」
◆ ピロリ菌除菌の影響
- ピロリ菌がいる胃では胃底腺ポリープは少なく、除菌後に増加する傾向がある。
- 胃酸分泌が変化し、腺細胞の過形成が促進されると考えられている。 【参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24587670/】
◆ PPI(プロトンポンプ阻害薬)の影響
- 長期使用により胃酸が抑えられ、ガストリンの反跳的増加により胃底腺の増殖を促す。
- 特にネキシウム(エソメプラゾール)やタケキャブ(ボノプラザン)などで報告例あり。
ママ:「でも、胃薬って出されるとずっと飲み続けちゃうよね…」
パパ:「医師に“どれくらい必要か”確認するのが大事だね」
【第4章まとめ】
- ピロリ菌除菌後は胃底腺ポリープが出やすくなる。
- PPIの長期使用は胃底腺ポリープの発生リスクを上げる可能性がある。
- 薬の継続は主治医とよく相談を。
第5章:FAPと遺伝性疾患の注意点
一行は胃界王国の“遺伝の塔”へ。
ミサ:「FAPって何?」
パパ:「家族性大腸腺腫症(FAP)は、大腸に無数のポリープができる遺伝病だけど、実は胃にも関係してくるんだ。」
◆ FAPと胃底腺ポリープ
- FAPでは胃底腺ポリープが多発しやすく、がん化のリスクが一般より高い。
- 胃以外にも十二指腸や小腸にポリープができやすく、内視鏡での定期チェックが必要。
いっしー:「じゃあ、家族にFAPの人がいたら注意しなきゃだね!」
パパ:「うん、FAPが疑われる人は遺伝子検査や定期的な上部・下部内視鏡が勧められている。」
【第5章まとめ】
- FAPのある人では胃底腺ポリープも要注意。
- がん化リスクがあるため、定期内視鏡が必須。
- 家族歴や遺伝子検査の確認が重要。
最終章:ゆうの泣き声と“検査の魔法”
現実世界に戻った家族。
パパ:「今回の旅で、ポリープ=全部怖いではないことがわかったね」
ママ:「でも、小さな変化に気づける“検査”がやっぱり大事だわ。」
ミサ:「放置しない。気になったら病院行こう。それが家族のルールね」
ゆう:「ふぎゃあああ!(全員、来年も胃カメラ予約して〜!)」
ブログまとめ:ポリープを“放置”ではなく“観察”しよう
- 胃底腺ポリープは良性が多いが、油断は禁物。
- 大きさや数、色調、出血の有無で切除対象が変わる。
- FAPなどの遺伝病がある人はより注意。
- ピロリ菌除菌後やPPI服用中は特に発生しやすい。
- “定期的な内視鏡”という魔法で早期に異常を察知しよう!
次回の健診で「胃ポリープがあります」と言われても、もう慌てない。
あなたの判断が、未来の健康を守ります。
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