疲れが原因？中高年女性に増える逆流性食道炎

2025年5月13日

キャラクター紹介（異世界形式）

パパ（46歳）：内科学会専門医、消化器・肝臓内科医。FX・投資好き。脂肪肝あり。朝6時からテニス＆ランニング。寝不足ぎみ。
ママ（37歳）：理学療法士。ウォーキング＆テニスが趣味。育児に奔走しながらも笑顔を忘れない。感情は顔で語る。
ミサ（9歳）：冷静＆ツッコミ担当の小学4年生。ピアノとスイーツが好き。
いっしー（6歳）：小学1年生のスポーツ少年。常にボールと一緒に行動。
ゆう（0歳）：泣き声のタイミングが天才級。FX急落時に泣く癒し系ベビー。
パンダ（猫）：基本クール。パパと不仲（？）だが、甘えるとドル円が上がると噂。

「最近、疲れが取れなくて…しかもなんだか胸がムカムカする」
それは、中高年女性に急増している“逆流性食道炎”のサインかもしれません。
私は内科学会認定医であり、消化器・肝臓内科を専門とする現役医師ですが、日々の外来ではこうした訴えを多く聞きます。
特に40代～50代の女性は、更年期によるホルモン変化・ストレス・睡眠不足・多忙な生活が重なり、自律神経のバランスが乱れやすく、それが逆流性食道炎の悪化につながるケースが増えています。
本記事では、医師としての知見と、我が家の異世界家族ストーリーを交えながら、「疲労と逆流性食道炎の密接な関係」を専門的かつわかりやすくお伝えします。
すべての中高年の女性、そしてその家族のために。胃と心のバリアを一緒に守りましょう。

異世界・胃の王国で始まる胸やけの謎

ある日、胃の城に異変が…

パパがFXチャートを眺めていたその夜、突然家中が光に包まれ、家族全員が「胃の王国」に転送されてしまう。

ママ：「うう…最近ずっと胸やけがするの。お腹の中で何かが燃えてるみたい…」

パパ：「これは“酸の魔獣”が暴れてるな。胃の城の防御が破られてるのかもしれない」

ゆう：「ふぎゃーー！（※このタイミングでドル円急落）」

逆流性食道炎（GERD）とは？

症状とメカニズム

GERDとは、胃酸が食道に逆流して、粘膜を傷つける状態です。食道には胃酸に対する防御機構がないため、胸やけや喉の違和感、咳、呑酸などの症状が現れます。

主な症状

胸やけ
酸っぱい液体が上がる（呑酸）
喉の違和感、咳、声枯れ
食後や横になったときの不快感

「胸やけが週に2回以上続いている場合、それは単なる食べ過ぎや一時的な不調ではなく、**逆流性食道炎（GERD：Gastroesophageal Reflux Disease）という病気のサインである可能性が高いと考えられています。

胃酸が繰り返し食道へ逆流すると、食道の粘膜がダメージを受け、炎症を起こすことがあります。これがGERDの典型的な症状であり、特に40代以降の方や、女性に多い傾向が報告されています。

複数の国際的な研究では、「週に2回以上の胸やけ」が持続することを、GERDの診断基準のひとつとして採用しており、これは消化器専門医による診察・検査を受けるべき重要な“赤信号”です【https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4991638/】。

何気ない不調でも、頻度と持続性がある場合は要注意です。 放置すると、食道の粘膜が変性し「バレット食道」や「食道がん」などのリスクが高まるケースもあるため、早めの受診と対策が肝心です。

【まとめ】

GERDは「胃の酸」が「食道」に逆流する病気
中高年女性に増加している

女性に多い理由とは？ホルモンと自律神経の関係

更年期と副交感神経の低下

女性は40代～50代になるとエストロゲンの分泌が減少し、自律神経のバランスが崩れやすくなります。副交感神経の働きが低下すると、胃酸の分泌リズムや食道括約筋の緊張が乱れ、GERDが悪化します。

さらに、睡眠障害・イライラ・ホットフラッシュといった症状も、胃に影響します。

更年期障害とGERDの関連は多くの研究でも報告さ更年期に差しかかる40代後半から50代の女性では、女性ホルモン（特にエストロゲン）の分泌が急激に減少することで、自律神経のバランスが崩れやすくなります。**この自律神経の乱れが、胃や食道の運動機能や、胃酸の分泌・逆流防止機構に影響を及ぼすことで、逆流性食道炎（GERD）の発症リスクが高まるとされています。

実際、複数の研究で、更年期に関連する自律神経症状（不眠、焦燥感、イライラなど）を抱える女性ほど、GERDの症状（胸やけ・喉の違和感・呑酸など）を訴える割合が高いことが報告されています。

たとえば、2012年に発表された研究では、更年期女性のうちGERD症状を有する割合は、非更年期女性と比較して有意に高いとされており、ホルモンバランスの変化がGERD発症の一因であると結論づけられています

つまり、「ホルモンの乱れ」と「胃の不調」は無関係ではなく、密接に関係しているのです。れています【https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22215594/】

【まとめ】

ホルモンの変化で自律神経が乱れやすくなる
副交感神経の低下がGERD悪化の原因に

日常生活にひそむ悪化要因

家事・仕事・育児の多忙さが胃を襲う

ミサ：「ねぇママ、最近“ムカムカする”ってよく言ってるけど、大丈夫？」

ママ：「うーん、朝はお弁当作って、洗濯して、そのまま仕事に行って…。帰ってきたら夕飯の支度して、宿題見て、お風呂入れて…合間にテニスもしたいし…。そりゃ疲れもたまるわよね」

パパ：「その“疲れ”、実は甘く見ちゃいけないんだよ。身体が疲れると、自律神経のバランスが崩れて、胃の動きも鈍くなるんだ。すると、消化がうまくいかずに胃の中の圧力が高まって、胃酸が逆流しやすくなる」

ママ：「えっ、それって…このムカムカって胃酸が上がってきてるの？」

パパ：「そう。つまり、疲労とストレスが積み重なることで、“見えない胃の炎上”＝逆流性食道炎が起きている可能性があるんだ。ママみたいに頑張りすぎる女性ほど要注意だよ」

ミサ：「ママの“頑張りすぎ注意報”発令だね！」

ゆう：「ふぎゃ〜〜！（ママ、やすんで〜）」

よくある悪化習慣

遅い時間の食事
寝る直前のスマホ
就寝中の姿勢（平らに寝る）
慢性的なストレスと寝不足

【まとめ】

女性はマルチタスクで疲労がたまりやすい
その疲労がGERDを引き起こす要因に

専門医としての治療とアドバイス

治療の基本と生活指導

私の勤める病院でも、逆流性食道炎に悩む中高年女性の来院は増えています。治療の基本は**PPI（プロトンポンプ阻害薬）**による胃酸の抑制です。

主な治療法

PPI（オメプラゾール、ランソプラゾール）【https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK430741/】
H2ブロッカー
胃粘膜保護薬
ストレス対策と自律神経改善

【まとめ】

胃酸の制御だけでなく、生活改善が大切
生活指導を含めた包括的治療が重要

我が家で始めたセルフケア法

実際に変えた5つのこと

我が家では、ママの逆流性食道炎（GERD）の症状が続いたことをきっかけに、日常生活の中で5つの習慣改善に取り組みました。

夕食は18時半までに済ませる
　→食後すぐ横になると、胃酸の逆流が起こりやすくなります。食後2〜3時間は横にならないことが推奨されています【https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4991638/】。
就寝前のスマホは禁止
　→ブルーライトはメラトニン分泌を抑制し睡眠の質を低下させます。睡眠不足は自律神経を乱し、GERDを悪化させることが知られています【https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30882150/】。
テニス前の軽いストレッチ
　→運動は交感神経を適度に刺激しますが、ストレッチを加えることで副交感神経の活動を促進し、自律神経のバランスを整える効果があります【https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4772053/】。
“胃枕”を使って上体を15度ほど上げて寝る
　→上半身を傾けることで、重力によって胃酸の逆流が抑制されることが臨床研究でも示されています【https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12809862/】。
深呼吸＋ハーブティーで寝る前にリラックス
　→深呼吸や温かい飲み物（特にカモミールなど）には、副交感神経を優位にし胃腸機能を改善する作用があります【https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3612440/】。