「脂肪1kgを落とすには7200kcalの赤字が必要」――この数字は、ただの理論ではありません。実際の臨床でも、脂肪性肝疾患や生活習慣病を改善するには、継続的で計画的なエネルギー収支の管理が必要です。この構造はまさに“ローン返済”と同じ。毎日少しずつ、確実に“返済”していく必要があります。本記事では、内科・消化器・肝臓内科専門医であるパパと、その家族が異世界「お腹王国」で脂肪という借金を返済する冒険を通じ、脂肪燃焼の本質に迫ります。楽しく、でも科学的に。子育て世代〜中高年の皆さまへ、“体重を落とす=未来への投資”という視点で、新しいダイエットの考え方をご紹介します。
【キャラクター紹介】
パパ(自分):46歳。内科学会専門医、消化器内科・肝臓内科専門医。脂肪性肝疾患を抱えるも、毎朝6時からランニングとテニスを行い、体と家計(投資)を整える努力家。スマホでチャートを見がちで寝不足気味。
ママ(37歳):理学療法士で表情豊か。ウォーキングとテニスが趣味。家族の健康管理係。
ミサ(9歳):冷静沈着な小学4年生。ピアノとスイーツが好き。パパへの的確なツッコミが得意。
いっしー(6歳):小学1年生。運動神経抜群で、テニスとサッカーが大好き。ボールと寝る男子。
ゆう(0歳):泣き声のタイミングがFXの急落とリンクする謎の天才赤ちゃん。家族の癒し担当。
パンダ(猫):気まぐれ。パパが調子いいと寄ってくるが、相性は微妙。
【プロローグ:お腹王国に舞い降りた“7200kcalの請求書”】
この物語は、「お腹王国」の王(=パパ)に突如届けられた一通の“脂肪請求書”から始まる。 「殿下は7200キロカロリー分、脂肪を借り入れております。早急なご返済をお願いいたします」 ミサ:「パパ、それって“脂肪1kg分”ってことだよ?」 いっしー:「パパ、毎日走ればチャラになるの?」 パパ:「ふむ…ただ“走る”だけでは済まなそうだぞ。これは、戦略が必要だ」
【第1章:脂肪借金10kg!? パパの“72000kcal返済”が始まった】
「殿下、現在の借金は10kg分、合計72,000キロカロリーです」
お腹王国に届いた“脂肪借用通知”を読み上げるミサの声が、診療所の空気を凍らせた。
「72,000って…そんなに⁉」といっしーが目を丸くする。
パパは脂肪性肝疾患を持つ医師。朝ランやテニスで運動習慣はあるが、ここ数年で“見えない借金”が増えていたらしい。
「ふぎゃあぁ〜!!」とゆうが泣き出す。どうやら“健康危機”を察知したようだ。
「これは冗談じゃないよ。体脂肪1kg減らすには約7200kcalの赤字が必要。10kgなら72000kcalの借金ってことさ」
パパの表情は真剣だ。
実際、体脂肪1kgは約7200kcalのエネルギーを蓄えており、これを減らすには、摂取カロリーより消費カロリーが7200kcal分多い状態を作る必要があります(Hall KD et al., Am J Clin Nutr, 2012)【https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23057101/】。
「つまり毎日240kcalの赤字を3ヶ月続ければ3kg、1年なら約10kg返済できるってことよ」とミサ。
ママは苦笑しながら言った。「それっておやつと揚げ物、週3回の運動で何とかなるかもね」
「…やるしかないか。これはもう、“健康の住宅ローン返済”だな」
そう言ってパパはランニングシューズを手に取った。
【章のまとめ】
パパは脂肪10kg=72,000kcalの“健康借金”を背負っている
脂肪1kg=7200kcalという計算は、臨床的にも広く使われている基準
一度に返すのではなく、毎日の赤字積み重ねが本質
家族の協力と戦略的な返済計画が鍵になる
【第2章:まずは“自分の燃費”を知る】
【第2章:まずは“自分の燃費”を知る】
「パパの脂肪借金、ちゃんと返すなら、まず“燃費”を把握しなきゃダメよ」とママが“健康家計簿”を開いた。
「燃費?」といっしーが首をかしげる。
「そう。僕たちの体が1日にどれくらいエネルギーを使ってるかってことだよ」とパパ。
私たちの体は、寝ている間も、呼吸をしたり、心臓を動かしたり、体温を保ったりするために常にエネルギーを消費している。
この何もしていなくても消費される最小限のカロリーが「基礎代謝量(BMR:Basal Metabolic Rate)」と呼ばれる。
Harris-Benedict式とは?
基礎代謝を予測するために世界中で使われている代表的な式がHarris-Benedict式。
男女で異なる計算式を使い、体重・身長・年齢から日々の燃費を割り出す。
男性用】Harris-Benedict式
BMR=66+(13.7×体重kg)+(5.0×身長cm)−(6.8×年齢歳)BMR = 66 + (13.7 × 体重kg) + (5.0 × 身長cm) − (6.8 × 年齢歳)BMR=66+(13.7×体重kg)+(5.0×身長cm)−(6.8×年齢歳)
▶ 例:パパ(46歳・72kg・172cm)
BMR≒66+986.4+860−312.8=1599.6 kcal/日BMR ≒ 66 + 986.4 + 860 − 312.8 = \textbf{1599.6 kcal/日}BMR≒66+986.4+860−312.8=1599.6 kcal/日
女性用】Harris-Benedict式
BMR=655+(9.6×体重kg)+(1.8×身長cm)−(4.7×年齢歳)BMR = 655 + (9.6 × 体重kg) + (1.8 × 身長cm) − (4.7 × 年齢歳)BMR=655+(9.6×体重kg)+(1.8×身長cm)−(4.7×年齢歳)
▶ 例:ママ(37歳・55kg・160cm)
BMR≒655+528+288−173.9=1297.1 kcal/日BMR ≒ 655 + 528 + 288 − 173.9 = \textbf{1297.1 kcal/日}BMR≒655+528+288−173.9=1297.1 kcal/日
BMRの計算フォーム(よかったら計算してみて下さい)
🔢 あなたの基礎代謝と消費カロリーを計算!
「つまりこれが、“何もしなくても使うカロリー”ってことね」とミサ。
この基礎代謝に、日常の活動レベルを加味した“係数”をかけることで、1日の総消費カロリー(TDEE=Total Daily Energy Expenditure)が求められる。
TDEE(1日の総消費カロリー)早見表
活動レベル | 係数 | 内容の目安 |
ほぼ寝たきり | 1.2 | 安静状態 |
座り仕事中心 | 1.375 | デスクワーク中心 |
やや活動的 | 1.55 | 軽い運動・立ち仕事 |
活動的 | 1.725 | 外回り・毎日運動している |
非常に活動的 | 1.9 | 肉体労働・スポーツ選手など |
▶ 例:パパ(BMR 約1600kcal × 係数1.55)
TDEE≒2480 kcal/日TDEE ≒ \textbf{2480 kcal/日}TDEE≒2480 kcal/日
「つまり、これが“1日に稼げるカロリー”ってことね」とミサ。
「ふぎゃ〜!!(間食は浪費だー!)」と、タイミングよくゆうが泣く。
「そう。200kcal多く食べれば、それは脂肪に“借金”されるってこと。だからまず、自分がどれだけ“稼いでいるか”を知ることが、脂肪返済生活の出発点なのよ」とママがまとめた。
【参考文献】
Mifflin MD et al., A new predictive equation for resting energy expenditure in healthy individuals.
Am J Clin Nutr. 1990【https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23057101/】1/】
【章のまとめ】
基礎代謝(BMR)=生きるために最低限必要なエネルギー
Harris-Benedict式で自分の「燃費」を計算できる
生活活動を含めた総消費カロリーを知ることで、何をどれだけ食べられるかがわかる
赤字(脂肪削減)計画は、まず“可視化”から
ゆうの泣き声は「間食注意報」!?(信頼度:高)
【第3章:脂肪への“借金”をどう返す?――1日いくら返済すればいい?】
「ミサ、パパの脂肪借金ってさ…いつ返せると思う?」
いっしーがまるで住宅ローンの話のように尋ねた。
「1kgの脂肪=7200kcalってことは、10kgで**合計72,000kcalの“消費カロリー借金”**だよ。それを1年で返すなら、**1日あたり200kcal分ずつ借金を返していけばいいんじゃない?」とミサは冷静に答えた。
「ふむ…つまり、パパは脂肪に72,000kcal分“ツケ払い”してるってことだな。間食、夜食、運動不足の積み重ねで…」
「ふぎゃ〜!!(甘いの返せー!)」とゆうの怒りの泣き声が響いた。
実際、**National Institutes of Health(NIH)**によると、1日500kcalのエネルギー借金返済で、1週間に0.5kgの脂肪が減るという目安が示されています【https://www.nhlbi.nih.gov/health/educational/lose_wt/index.htm】。
つまり、毎日200〜250kcalずつ“脂肪に返済”していけば、1年で約10kgのツケを精算できるというわけです。
「それって…毎日おやつ1個やめるか、階段で上り下りするくらいでいけそうだね!」とママも前向き。
「つまり、使いすぎたカロリー=脂肪への“借金”。これを毎日少しずつ返していけば、健康っていう財産が戻ってくるんだ」とパパ。
ミサは言った。「貯めた脂肪も、返すのは一歩ずつ。今が返済スタート地点ってことね」
【章のまとめ】
脂肪1kg=7200kcalの“カロリー借金”
パパは10kg=72,000kcalを脂肪に“ツケ払い”していた
1日あたり200〜250kcal返済できれば、1年で完済も可能
「おやつ1個分」「通勤で階段」など日常の選択が“返済行動”になる
健康は“信用スコア”を上げる投資先。返済開始は今日から!
【第4章:ダイエットは“借金返済”と同じ】
「パパ、脂肪の借金にも“利息”ってあるの?」とミサが眉をひそめる。
「もちろんあるよ」とパパはうなずいた。「脂肪が増えるほど、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病リスクがどんどん上がる。これを僕らは“健康利息”って呼んでるんだ」
「つまり…放置すればするほど“延滞金”が増えて、将来の医療費や通院の“支出”がかさむってこと?」とミサ。
「ふぎゃああ!(それヤバい!)」とゆうが絶妙なタイミングで叫ぶ。
「そう。だからこそ、今すぐ小さく返し始めることが大事なんだ。少額でも、早く始めれば複利を抑えられる。これは、脂肪借金も金融ローンも同じだよ」
そう言いながら、パパは診察室のホワイトボードに図を描いた。
脂肪借金 vs 金融ローン:比較表
項目 | 借金返済 | 脂肪燃焼ダイエット |
目標 | 借金ゼロ | 体重−10kg(脂肪返済) |
節約 | 支出を減らす | 摂取カロリーを減らす |
収入増 | 副業・昇給など | 運動・活動量を増やす |
継続の課題 | 習慣化が難しい | リバウンドの危険 |
利息 | 金利 | 生活習慣病リスク(糖尿病など) |
「だから、脂肪をためすぎると“金利”で病気になるんだよ」とパパは続けた。
この“健康利息”の考え方は、実際の疫学研究でも支持されており、BMIが高くなるほど心血管疾患や死亡率が上がることが複数の大規模研究で示されています【Willett WC et al., N Engl J Med. 1995】【https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7477196/】。
ミサ:「じゃあ、わたしたちが毎日頑張るのって、“複利”からの脱出なのね」
「その通り。返済を始めることが最も強力な一手だよ」とパパはほほ笑んだ。
【第5章:1ヶ月で7200kcalを返す実践プラン】
「ねぇママ、脂肪への借金って、月に1kg返済できるもんかな?」とパパがふとつぶやいた。
「いけるわよ。1日240kcalずつ脂肪に返済すれば、1ヶ月で7200kcalになるんだから」とママが計算メモを見せてニッコリ。
「じゃあ今日の夜ご飯、ちょっと控えめにしよっと」とミサが自ら茶碗を小盛りにする。パパは内心ちょっと驚いた。
食事での“節約返済”アイデア(−150kcal/日)
ご飯150g → 100g(約−80kcal)
菓子パン → ヨーグルト+ナッツ(−70kcal)
揚げ物 → 焼き魚へ変更(脂質カット)
「ちょっとずつでも、確実に返していこうね」とママ。
運動での“追加返済”アイデア(+150kcal/日)
ランニング30分:300kcal(週3〜4回)
階段利用(通勤の一部):80kcal
子どもと全力で遊ぶ:30分で約100kcal
「いっしーと毎日走れば余裕で返せそうだね!」といっしーが張り切る。
「ふぎゃあ〜!(動け〜!)」とゆうもいつになく賛成の泣き声。
「こうしてみると、食事と運動で合わせて240kcal返すのって意外と現実的だな」とパパは感心。
脂肪への借金返済には、特別なジム通いも極端な食事制限も必要ない。
大切なのは、“続けられる小さな選択”を日々積み重ねること。
そして家族が一緒に参加してくれることで、その返済生活が「しんどい努力」ではなく、「笑いのある共同作業」に変わっていくのだ。
【章のまとめ】
脂肪1kg=7200kcalの“借金返済”は、1日240kcalの行動で1ヶ月完済可能
食事の小さな調整+日常の運動で実現できる
無理をせず、続けられる工夫こそが最大の武器
いっしーとゆうが“返済アシスタント”として大活躍中!
【第6章:家族巻き込み作戦――借金返済はチーム戦!】
「パパの脂肪借金返済って…もはや家族全体のミッションじゃない?」
そう言ったミサの一言が、王国の作戦会議の火蓋を切った。
「その通り。脂肪王国を守るには、王室総動員だ!」とパパが力強く宣言。
その瞬間、なぜかパンダがスッと目を細めて寝転がった。やる気ゼロ。
でも人間チームは違った。ミサは「脂肪返済ノート」なるものを作成。
毎日、何を食べたか・どれだけ動いたかを記録し、どのくらい“カロリー借金”を返済できたかを見える化する作戦をスタート。
「今日はパパ、鬼ごっこで10分走って80kcal返済!」といっしーが張り切って報告。
「おやつはナッツにして、チーズもちょっとだけ。脂肪じゃなくて筋肉を育てましょ」とママが微笑む。
「ふぎゃ〜!!(ケーキ、課税対象!)」とゆうの泣き声が響き渡る。
どうやら王国では、“スイーツ課税法案”が可決されたらしい。
脂肪への借金返済は、もはやパパ一人の戦いではない。
「誰かがやってるから自分も続けよう」と思える環境こそ、習慣化の最大の武器だ。
そして記録をつけることは、“できたこと”を認めるツールでもある。
たとえ今日は大きく返せなかったとしても、「記録した」だけで家族が拍手を送ってくれる。
「お風呂掃除も“軽運動”だから、ちゃんと記録しておいてね!」とママ。
「じゃあトイレ掃除も加点対象!?」とパパが笑う。
【章のまとめ】
1日240kcalの脂肪借金返済は「家族みんな」で取り組めば現実的
“脂肪返済ノート”=見える化+モチベーションアップ
ダイエットが「孤独な我慢」から「仲間との習慣」へ
ゆうの泣き声は、王国のスイーツ課税センサー(高性能)
【第7章:数字以上の変化――こころと体の好循環】
「最近、朝の目覚めが全然違うんだよね」
朝の診療準備をしながら、パパがふとつぶやいた。
体重は1ヶ月で−1.2kg。数字としては小さな変化かもしれない。
でもそれ以上に変わったのは、朝のだるさが減り、集中力が増し、気分が前向きになったことだった。
「それって、生活の“質”が上がってるってことだよね」とミサが的確に返す。
「ふぎゃ〜!(いつもより目がキラキラしてる!)」とゆうも、いつになくニコニコしている。
実際、体重が1kg減るだけでも、QOL(生活の質)が大きく改善するという報告は存在する。
たとえば、Rossらによる研究では、たった1kgの減量でも身体的な快適さや精神的な満足感、社会的機能にまで良い影響が出るとされている【Ross R. et al., JAMA. 2000】【https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10789665/】。
ママは言う。「運動や食事の見直しは、見た目だけじゃなく、未来の“医療費節約”にもなるのよね。病院代ってけっこうかかるもの」
そしていっしーも言った。「なんかパパ、最近あんまりイライラしないし、いっぱい遊んでくれる!」
「それは…余裕が出てきたのかもしれないね」とパパは笑った。
減量は、ただ体重を減らすだけではない。
それは、自分を取り戻す旅であり、自己肯定感を育てる時間でもある。
そして、その変化は家族全体に“伝染”していく。
【章のまとめ】
減量=体重の数字以上に、気分・睡眠・集中力の向上に影響
わずか1kgでも、生活の質(QOL)が大きく改善されるというエビデンスあり
運動・食事改善は、“未来の医療費節約”にもつながる投資
家族全体がポジティブになる、**「健康の好循環」**が始まっている
【第8章:脂肪借金返済完了! そして…未来へ】
「パパ、ついに−10kg達成だよ! 脂肪借金、完済おめでとう!」
家族全員が拍手で祝福してくれた。王国での“10kg=72000kcal返済計画”が、ついに実を結んだのだ。
「ありがとう。でもね、ここからが本当の勝負なんだ」
パパは笑いながら言った。「返済して終わり、じゃなくて、“もう借りない生活”をどう続けるかが大切なんだよ」
脂肪借金を返したあとの生活は、いわば再発防止のフェーズ。そのために、パパは「未来戦略ノート」を広げた。
返済後の“王国生活防衛プラン”
食事記録は、毎日ではなく週1回にして継続。無理のない習慣化へ。
週末の外遊びは、いっしーとの恒例イベント。楽しく運動をキープ。
**毎週末の体重測定(“王国ヘルスチェック”)**で、変化を見える化。
【ブログ全体まとめ】
パパは10kg=72000kcalの“脂肪借金”を抱えていたが、計画的な赤字作りと家族の支援で無理なく返済に成功
脂肪燃焼とローン返済は同じ。一括ではなくコツコツの積み重ねが鍵
数字だけでなく、気分・生活の質・家族の雰囲気も大きく改善
ダイエットとは、「未来の自分への仕送り」であり、「家族と築く投資型習慣」でもある
明日からの赤字生活、あなたも始めてみませんか?
コメント